生理について


生理とは、赤ちゃんを迎える準備をしたあと、妊娠しなかったときに身体がリセットされる仕組みです。女性の身体では、だいたい1か月に1回「排卵」という現象が起こります。これは、卵巣から卵子が出てくることを指します。排卵が起きると、妊娠に備えて子宮の内側の壁(子宮内膜)がふかふかに厚くなり、赤ちゃんのもとになる受精卵を迎える準備を始めます。けれども、妊娠が成立しなかった場合は、その厚くなった子宮内膜は必要なくなります。そこで、身体の外に押し出されるのが「生理(=月経)」です。
一般的な生理とは?
生理は、女性の心と体に大きく関わる大切なサイクルです。しかし、回数や周期、出血量、痛みの程度などには個人差が大きく、普段は他人と比べる機会が少ないため、「これって普通なのかな?」「病院に行くほどではないかも…」と判断に迷う方も多いのではないでしょうか。「こんなことで受診してもいいのかな?」と思うようなことでも、どうぞお気軽にご相談ください。
生理周期について
生理周期とは、生理の開始から次の生理が始まる前日までの期間を指します。通常、生理周期は「25〜38日」の範囲で訪れることが健康的とされています。月ごとに生理周期に変動がみられることもありますが、これは生活習慣、ストレス、睡眠の質、疲労などが影響するため、多少のずれは珍しくありません。生理周期のずれが6日以内の場合は、問題ない範囲と考えられています。
生理の量について
生理の血量は、通常「20〜140mL程度」です。
過少月経(140mLより多い場合)
血量が非常に少なく、ナプキンをほとんど使わない程度
過多月経(20mLより少ない場合)
・普通のナプキンでは1時間おきに交換しないと漏れてしまう
・昼間でも夜用ナプキンを使う日が3日以上続く
・以前に比べて経血量の増加が顕著で、生理期間が8日以上長くなった
生理の期間(持続日数)について
生理の期間は通常3〜7日間です。1〜2日で終了する場合は「過短月経」、8日以上続く場合は「過長月経」と呼ばれます。
生理痛について
生理痛が市販の鎮痛薬で抑えられ、日常生活に支障をきたさない程度であれば、特に心配はありませんが、生理痛を放置すると子宮内膜症や不妊症に進展する可能性が示唆されておりますので、一度婦人科を受診することをおすすめします。
生理不順
生理周期が通常の範囲を外れる状態を「生理不順」と言います。具体的には、周期が24日未満または38日以上の場合に生理不順とされます。特に初経後の数年間は、生理が不規則であることがよくありますが、時間が経つにつれて安定することが一般的です。しかし、これまで順調だった生理周期が急に乱れることもあります。この場合、疲れやストレス、睡眠不足、ダイエット、激しい運動などが原因となることが多いです。
また、長期にわたる生理不順や元々周期が不安定な方は、卵巣機能に異常が隠れていることも考えられます。生理不順は、体調を管理しづらくなるだけでなく、排卵のタイミングが把握しにくくなるなどのデメリットもあります。
診断には、超音波検査で子宮や卵巣の状態をチェックしたり、血液検査でホルモンバランスや貧血、プロラクチンなどを調べます。治療法としては、漢方薬やカウフマン療法、ホルムストローム療法、低用量ピル、超低用量ピルが一般的に用いられます。
生理が来ない
通常の生理周期は約28〜30日ですが、39日以上間隔が空く状態を「稀発月経」と言います。これは、卵巣機能が十分でない、または女性ホルモン分泌が不安定になることが原因です。1〜2ヶ月経過を観察し、この周期が長く続く場合には、排卵の有無やホルモンバランスの検査を行うことが必要です。
月経周期が短い
生理周期が通常28〜30日であるのに対し、24日以下になる状態を「頻発月経」と言います。主な原因は、卵巣機能の低下やストレスなどで女性ホルモンのバランスが崩れることです。また、黄体ホルモンの分泌低下により、排卵日から生理開始までが短縮されることがあります。黄体ホルモンが減少した場合、子宮内膜が適切に成熟せず、妊娠が難しくなる場合や流産のリスクが高まることがあります。妊娠を考えている方は、早期に医師に相談することが大切です。
生理がなかなか終わらない・経血の量が多い
生理が8日以上続く状態を「過長月経」、経血量が異常に多い状態を「過多月経」と言います。過多月経では、生理痛がひどくなったり、レバー状の血の塊が出たりします。これらの症状は、子宮筋腫や子宮内膜症、ポリープ、子宮がんなど重大な病気が隠れていることもあるため、早期の受診が推奨されます。健康診断で貧血を指摘され、内科で異常が認められない場合には、過長月経や過多月経が原因の可能性がありますので、早めに婦人科を受診することをおすすめします。
生理がすぐに終わる・経血の量が少ない
経血量が極端に少なく、ナプキンにわずかに血がつくだけの状態を「過少月経」、生理が2日以内で終了してしまう状態を「過短月経」と言います。原因としては、女性ホルモンの分泌不足や、子宮内膜の成熟が不十分なことなどが挙げられます。さらに、子宮の発達不全や甲状腺異常などが原因となる場合もあります。過少月経や過短月経を放置していると、不妊の原因となることがあるため、気になる症状があれば早めに婦人科を受診することをおすすめします。
PMS(月経前症候群)/
PMDD(月経前不快気分障害)
生理前になるとホルモンバランスの急激な変化が体調に影響を与え、感情の起伏が激しくなることがあります。PMS(月経前症候群)は、生理の3〜10日ほど前からあらわれる心身の不調のことを指します。代表的な症状として、乳房の痛みや張り、腹部膨満感、頭痛、腰痛、むくみ、食欲の減退、吐き気などがあり、これらの症状は生理の開始とともに解消するのが特徴です。
一方、PMDD(月経前不快気分障害)は、PMSに似た症状を伴いながらも、特に精神的な症状が強くあらわれます。イライラや抑うつ、不安などの精神的な不調が顕著になり、日常生活に支障をきたすこともあります。PMDDの症状は生理が始まると軽減しますが、PMSよりも長く続くことが多いです。なかには、突然涙が止まらなくなったり、絶望的な感情を抱えたり、怒りの感情が抑えきれなくなったりすることもあり、このような症状が強い場合、社会生活に大きな影響を及ぼすことがあります。そのような場合、早めの対処が大切です。まずは専門家に相談し、必要に応じて治療を受けることをおすすめします。
月経困難症
生理の前後や生理中に、子宮が収縮することにより、下腹部や腰に痛みがあらわれることがあります。通常、痛みは軽度で済むことが多いですが、鎮痛薬を使用しても十分な効果が得られない、または痛みが強すぎて仕事や学校を休まなければならない場合、あるいは年々生理痛がひどくなる場合は、「月経困難症」と診断されることがあります。
生理痛が常にあると感じ、毎回市販薬を使って対処している方も多いかもしれませんが、過度な痛みが続く場合、子宮筋腫や子宮内膜症などの疾患によって起きている「器質性月経困難症」の可能性もあります。生理痛を放置すると、将来子宮内膜症や不妊症に進展する可能性が示唆されております。生理痛がひどいと感じる方は、無理に我慢せず、一度婦人科での診察を受けることをおすすめします。
過多月経
過多月経は、生理中の出血量が異常に多い状態を指し、1日あたり140mL以上の出血がある場合に該当します。過多月経は貧血を引き起こすことがあり、例えば普通のナプキンで1時間おきに交換しなければ漏れてしまう、昼間でも夜用のナプキンを使用しないと間に合わない、出血にレバー状の血の塊が混じる場合などは、過多月経が疑われます。出血量は他の人と比較しにくいため、貧血が診断された後に過多月経に気づくこともよくあります。
過多月経は一時的な貧血治療だけでは改善しません。出血量が変わらなければ、再び貧血が起こるため、適切な診断と治療が必要です。過多月経の原因としては、子宮筋腫や子宮腺筋症、子宮内膜ポリープなどが考えられます。また、生理が多いわけではなく、子宮がんからの出血の場合もあるため、注意が必要です。診断には、子宮卵巣の超音波検査、子宮がん検査、血液検査などを実施し、原因を特定します。その後、患者様と相談し、漢方や低用量ピル、超低用量ピル、ミレーナなどの治療法を提案します。必要に応じて外科的処置が行われることもあり、その際は適切な医療機関を紹介いたします。

